先々週の日曜日に怪物を見に行った。
個人的にとても良い映画だと思ったので、この映画を観て思ったことを書いていきたい。
「誰も知らない」や「そして父になる」「万引き家族」の是枝監督。
「花束のような恋をした」で確実に心を掴まれた坂元裕二。
この二人がタッグを組んだ作品ということで、ミーハーながらも映画館で観ることは公開前から決めていていた。
冒頭はタイトルを真に受けて、果たして誰が怪物なのか?
怪物がどのような事をしでかし、またどのように終焉を迎えるのかを考えながら
劇中の怪物探しをしながら観ていた。
まさに「怪物だーーーれだ。」
しかし、中盤、後半と様々な視点で検証されていく事実を目の当たりにしていくうちに
この物語への視点が全く違うものになっていった。
以下ネタバレになるかもしれない感想。
私も、怪物。バケモノなんだ。
それは誰かにとっての怪物か、自分自身を襲う怪物か。
というのが率直な感想。
その怪物は、常に息をひそめて、見えないところから誰かに、または自身に爪を突き立てる。
手のひらで相手を優しく包み込んだつもりでも、
爪の切っ先が肉をえぐってしまうこともある。
制御できない自分の感情に襲われて、社会を拒み、塞ぎ込んでしまう。
正常なつもりでも、無意識のうちに、あの人から見た私は怪物だったのかもしれない。
そんなことを改めて突き付けられた作品だった。
是枝監督と坂元裕二、この二人は日常に潜む違和感や、見て見ぬふりをしてしまいそうな表情や言動を繊細に表現してくる。あまりにもリアル過ぎて、スクリーンの向こう側として割り切れない没入感があった。
十人十色、様々な解釈がある映画だと思うし、色んな人の感想を聞いてみたい。
言葉の伝え方、受け取り方で事実なんてものは簡単に霞んでしまう。
そうして伝わったイメージは、そこに存在しているものよりも色濃く頭にこびりつく。
思い込みから事実へと姿を変えていき、どう倒そうか思案する。
それが怪物の正体なのかもしれない。
そして怪物は、自ら作り上げた怪物を襲う。
救いようのない負の連鎖が劇中の少年たちを導き、その連鎖から解放された少年たちが選んだ世界はあまりにも美しく、儚い世界だった。
間違いなく人生で見た映画のトップに食いこんできたこの作品。
上映期間中にもう一回観に行きたいと思える作品だ。
【言葉】というのは割と私の人生のテーマで、伝え方や受け取り方をいまだに間違えてしまったな!という事はままあるのだけれど、いつか上手に言語化して記事に出来たらいいな。